東洋大学パワハラと不正裁判を糾弾する会

東洋大学パワハラ裁判
第一審準備書面4

令和4年(ワ)第16058号 損害賠償請求事件

原 告 福田 拓也

被 告 学校法人東洋大学

準備書面4

2023(令和5)年5月31日

東京地方裁判所 民事部第42部合議A係 御中

原告       福  田  拓  也

第1 ハラスメント1~9について(被告第1準備書面、第5)についての認否反論

1 ハラスメント1について

(1)認否

 すべてにつき否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は原告準備書面2の「1ハラスメント1について」①につき「認否の限りでない」と主張するが、大学設置基準第13条の別表1教員と別表2教員についての記述、就中「別表第二により大学全体の収容定員に応じ定める教授等の数」は、本事案が法令違反であることと本質的に関わるものである。

② 被告は「フランス語の教員が退職したからといって、その後継にフランス語の教員を雇用しなければならないわけではない」と主張するが、これは科目の変更自体のみをもっては法令違反とならないということに過ぎず、後述する通り、フランス語教員枠の政治学教員枠への転用は大学全体の収容定員に応じ定める教員数の配分を事実上変更する明らかな法令違反である。

③ 被告はまた「フランス語の履修者数が漸減傾向にあり、フランス語教員を雇用することは、難しい状況にあった」と主張する。

 まず、フランス語履修者の「漸減傾向」という法学部内の一事情は、大学全体の収容定員に応じ定める教員数の配分を変更するための正当な理由とはなり得ない。

 また、2022年度春学期のフランス語履修者数130名であり、ドイツ語履修者数117名を上回っているにもかかわらず、フランス語専任教員を増やすことは検討もされていないことから、履修者数減少は、意図的なフランス語劣遇措置のための口実に過ぎないことが結論される。なお、被告が第一準備書面4頁で出したフランス語とドイツ語の履修者数は虚偽である。(甲第60号証)

 被告及び東洋大学法学部は、2023年度フランス語履修者数は例年と変わらないにもかかわらず新たに非常勤講師3名を採用し、原告を法学部フランス語教育体制から排除している。したがって、履修者数は口実に過ぎず、専任・非常勤の違いはあれ、フランス語教員数を減らしたり増やしたりするのが原告へのハラスメント目的であることは明白である。

④ 別表2の枠を騙って別表1の教員を採用することが横行すれば別表2と別表1の教員の配分が崩れ、別表2別表1の教員数が共に、法令で定められた数を大きく逸脱することになるのは明らかである。別表2の教員枠を用いて別表1の教員を採用することは法令違反である。

⑤ 転用された政治学教員枠で2017年度に採用された政治学専門教員****は、2017年度以来現在に至るまで、大学全体の学生向けの基盤教育科目である政治学を担当すると同時に、法学部企業法学科の専門科目である政治学原論をも担当している。しかも、2023年度からはこれに加えて専門演習をも担当している。この事実は、**が、形式上は大学全体の教養教育のための別表2教員として位置づけられながら、事実上は法学部向け専門教員である別表1教員として機能していることを証している。(甲第61号証)

⑥ 被告は、何らの証拠も提出せずに9月22日と12月15日という日付を出すのみであるから、被告の主張は、「いつどこの教授会で、***枠の教員採用で臨時教員枠が決まったのか、人によって言うことが全く異なるのであり、教授会で決定した事実を見いだせない」という原告準備書面2の言述への反論とはなり得ない。

 また、被告が9月22日と12月15日両日の教授会につき「委任状を提出し、原告自身は出席していない」と主張する通り、教授会決定がないまま、後から原告が欠席した日を選んでその日を教授会決定の日とした可能性は排除されない。

⑦ たとえ被告の主張通り教授会決定があったとしても、それは法令違反の決定が法学部教授会でなされたということを意味するまでであり、フランス語教員枠の政治学教員枠への転用が原告のフランス語教員としての人格権を侵害するハラスメントであり不法行為であることに変わりはない。

⑧ 原告には、育った家庭で「スポーツ」という言葉で心に深い傷を負ったという背景がある。そこにつけ込んで、教授会に限らず学内のあらゆる場で「スポーツ」という語を殊更強調して原告に聞かせ、原告が苦しむ表情を見て楽しむという一種の遊びが、非常に長い間東洋大学の中で流行していた。(甲第42号証、甲第43号証)甲第43号証にある通り、その中でも特に教授会は原告をかっこうの餌食として「スポーツ」という語を連呼して原告を苛んで遊ぶ娯楽遊興の場と化していた。そうした中で原告が稀に教授会を休むことがあっても当然であり、原告の欠席した教授会でそれを利用して原告の不利益になることを決定するのはハラスメントであり、また、逆に、教授会を経ずに原告の不利益になることを決定して後から原告の欠席した教授会で決定したと嘘をつくのもハラスメントである。

2 ハラスメント2について

(1) 認否

 すべてにつき否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は「原稿に問題があった場合に、被告が原稿作成者に連絡し、掲載の可否を検討すべきとの主張」につき「争う」としている。しかしこれは常識に属するので、これをしないことは必然的に常識に反して原告を無視し、原告の人格権を侵害することである。しかるに被告は「原告を無視したとの主張」及び「原告の人格権を侵害しているとの主張」につき「争う」とするので、ここには矛盾があり、正当な主張として通らない。

② 被告は「語学選択のしおりは、被告の責任において、被告が発行するものである」と主張する。これは具体的には、被告は原稿作成者たる原告に何らの連絡もなく掲載の可否を決定し、原告を無視し原告の人格権を侵害してもよいと主張することであり、自身のハラスメント及び不法行為を不当に正当化しているだけのことである。したがって、原告準備書面2、4頁①への反論として全く機能していない。

③ 被告は、ドイツ語紹介文が「他の語学に比して不均衡という主張は、争う」としているが、これは単なる虚言であり、明白に不均衡である。

 また被告は「2022年度の語学選択のしおりでは、原告の希望する体裁で掲載している」と主張するが、2021年度以来ドイツ語紹介文がイラスト付きになっているので、2022年度時点で不均衡を理由に却下できなかったというまでであって、何ら原告に対するハラスメント及び不法行為があったことへの反論とはなっていない。

3 ハラスメント3について

(1) 認否

 すべてにつき否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は次のように主張する。「当然のことながら、被告法学部HPは、公開されており、被告もいつでも閲覧することが、可能であった」。これを根拠に被告は「原告に対し、法学部HPに語学関係記事が掲載可能であることを連絡」したとし、「掲載の機会を提供している」と主張する。

 しかし、法学部HP閲覧は学外のあらゆる人に可能であるから、そのことをもって原告に連絡したとすることにより、被告は原告を法学部専任教員扱いしておらず仲間外ししていることを証明しているまでである。

 公開されていることのみでは、「法学部HPに語学関係記事が掲載可能な場があるということを、原告に知らせつつそこへの記事掲載がありうる旨を原告に連絡し、その機会の提供をしてきたこと」に当たらないことは明白であるから、被告の主張は原告準備書面2への反論として全く機能していない。

② 被告は、「被告ないし、被告職員が、ドイツ語の新入生履修者を増やそうとし、対してフランス語履修者を減らそうとしたとの主張は、争う」と主張するが、フランス語とドイツ語が競合する状況で不平等な状況を回避する配慮が何らなされなかった以上、そのような意図があったと考えるしかない。

4 ハラスメント4について

(1)認否

 ①の教養演習開講状況一覧について、及び②については不知。

  その余は否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は、「被告の主張が印象操作であることは、争う」と主張するが、第一準備書面において被告が虚言やトリックにより教養演習開講数を少なく見せていることは原告準備書面2で証明済みである。

また被告は第一準備書面において、「教養演習」と「セミナー」が別科目であると主張している。しかし、例えば、2020~22年度の3年間、英語教員****は同時に「教養演習」であり「セミナー」であるとされる一つの科目を2つ担当している。本当に両者が別科目であれば、同一授業が「教養演習」でもあり「セミナー」でもあることは不可能である。したがってこの虚言も教養演習を少なく見せるための印象操作であると言う他はない。(甲第28号証)

② 被告は、「原告の主張が、被告が、原告以外の教員には専門性を広げる機会を設け、原告に対し、意図的にそのような機会を設けていないとの主張であれば、争う」と主張する。しかし、原告準備書面2で指摘した通り、教養演習開講の必要条件として履修者10名以上かつ語学科目6コマ+教養演習1コマ計7コマを定める「教養演習開講方針」が2011年以来存在するにもかかわらず、この「教養演習開講方針」は全く無効なものにとどまり、その結果として2011年10年以上にもわたって数多くの教養演習やセミナーが「教養演習開講方針」にはっきりと違反する形で開講されている。この事実から、「被告が、原告以外の教員には専門性を広げる機会を設け、原告に対し、意図的にそのような機会を設けていない」ことは明らかである。

③ 被告は次のように主張する。「被告は、「「教養演習」は、必修科目ではないため、履修希望者が少ない場合には開講できないという背景がある。」と主張したが、これは、「教養演習」は、専任教員として担当すべき6コマとは別に担当して頂くこと、担当を希望される教員に担当して頂くことの背景を説明したまでであって、[…]」。

しかし、第一準備書面で被告は、訴状の次の記述を踏まえている。「2007年10月5日に法学部教務課職員の****と*****が原告の教養演習を「つぶしてやる」と言っているということを、当時カリキュラム委員長だった****氏が原告に伝え、「教養演習をやめた方がいい」と原告に伝え、それで原告が教養演習を担当させられなくなったという経緯である」。その上で被告は、「「教養演習」は、必須科目ではないため、履修希望者が少ない場合には開講できないという背景がある」と主張した。つまり、ここでの「背景」は、原告の意に反して東洋大学法学部が教養演習開講をやめさせたことの「背景」であり、被告が主張する如き「「教養演習」は、専任教員として担当すべき6コマとは別に担当して頂くこと、担当を希望される教員に担当して頂くことの背景」では全くない。したがって、被告の主張は全くの虚言であり、原告準備書面2への反論としては全く機能し得ない。そして、この「背景」は「「教養演習」は、必須科目ではないため、履修希望者が少ない場合には開講できない」ことなのであるから、原告の教養演習が潰された理由が第一準備書面で被告が主張する通り、履修者が少なかったためであることは疑い得ない。

④ 被告は第一準備書面で「履修希望者が少ない場合には開講できない」とはっきり主張しながら、第二準備書面では主張を正反対に変え、履修希望者が少なくても開講は可能であるという面を強調している。被告の主張がこのように首尾一貫しないのでは、裁判の議論として全く機能し得ない。原告準備書面2で、履修希望者が少ない場合の教養演習開講が多数あることを指摘されてしまったから主張を180度変えたと考えざるを得ない。

⑤ 教養演習開講方針はあくまで教養演習開講の条件を提示しているものなので、被告が強調するように「目途とする」、「ありうる」などの表現があったとしても、履修者10名以上を開講条件としていることに変わりはない。また、10名未満の開講が多数あったという事実がある以上、開講方針が守られなかったことは明白である。この事実は、それに加えて原告が教養演習を再び開講しなかったという事実は、教養演習開講方針が原告にのみ規則として機能し、他の教員たちにとっては規則として機能しなかった証拠である。したがって、「被告が、原告以外の教員には専門性を広げる機会を設け、原告に対し、意図的にそのような機会を設けていない」ことがここに証明される。

⑥ 被告は、「被告において、原告の教養演習を開講しないと決定した事実はなく、したがって、履修者が10名未満であるからという理由で何らかの決定はしていない」と主張する。

 しかし、そのような事実はあった。被告自身が第一準備書面で、原告の教養演習を開講しないと決定した事実を認め、それを前提とした上で、その事実を正当化するために「履修希望者が少ない場合には開講できないという背景」という言い方をしたこともまたその証拠である。

⑦ 被告は、「原告も認めるとおり、[…]2008年以降も、被告は、原告に対し、教養演習の担当希望を尋ねている」と主張するが、原告が認めるのは2011年の「教養演習開講方針」送付以外には教養演習担当希望について諮られたことは一回もなかったということである。そしてそこに明記された履修者10名以上かつ担当コマ数合計7コマという教養演習開講条件はその後10年以上に渡って遵守されることなく、原告に対してのみ拘束力を発揮したという事実は、これがまさに「原告を排斥する目的で作成された」ハラスメント目的の文書であったことを証明している。

⑧ なお、被告東洋大学学長及び法学部長は、2023年度原告のフランス語授業を4コマのみとしてこれを強要するハラスメント及び原告の人格権侵害の不法行為を犯している。このことからも、被告が原告に教養演習開講条件として語学授業6コマ+教養演習1コマを主張するのがハラスメント目的であることは明白である。要するに、被告は原告にハラスメントするために、ある時には原告に6コマを強要するし、ある時には6コマやらないことを強要しているまでである。

⑨ もし「法学部時間割編成方針」と「教養演習開講方針」が正当なものであれば、この両者は原告以外の教員たちに対して2011年以後効力を発揮し続けたはずであろう。しかし全くそういうことはなく、この両者に違反するケースが横行し、それが被告及び東洋大学法学部によって許容されている。このことからも「教養演習開講方針」が原告への2007年のハラスメントを正当化しつつ、原告が再び教養演習を開講するのを妨げる目的しかもっていなかったことが証明される。

 例えば、英語教員**は、少なくとも2018年、2021年、2022年の3年間に講義科目1とセミナー1にプラスして語学科目4コマで合計6コマしか担当していない。****は、2018年、2021年、2022年の3年間に講義科目1、セミナー兼教養演習2にプラスして語学科目3コマで合計6コマしか担当していない。2020年度には計7コマやっているが、本来ならば語学科目6コマプラス講義科目及びセミナー兼教養演習で合計9コマとなるのが正当であるはずのところであるから、これでも「教養演習開講方針」に違反していることは疑い得ない。****に関しては、2018年度と2020年度は7コマとなっているが、うち一つは海外研修で参加者0名であるから事実上6コマになる。そうすると、2018年,2020年,2022年の3年間に講義科目1とセミナー1にプラスして語学科目4コマで合計6コマしか担当していないことになる。2021年に至っては、講義科目1とセミナー1にプラスして語学科目3コマで合計5コマしか担当していない。中国語教員**は、2021年に教養演習1にプラスして語学科目5コマで合計6コマしか担当していない。

 訴状の甲第5号証拠2に明記してある通り、契約制外人講師****と*****は語学科目10コマを担当することが定められている。その場合、「教養演習開講方針」を援用すれば、当然両者が教養演習を担当する場合、語学科目10コマプラス教養演習1コマで合計11コマを担当せねばならないはずである。ところが、ドイツ語教員****の場合は、2018年、2021年には教養演習1コマを含んで合計10コマ、2020年には教養演習1コマを含んで合計9コマ、2022年には講義科目1と教養演習1を含んで合計10コマしか担当していない。中国語教員*****は、2018年と2020年に教養演習1コマを含んで合計10コマしか担当していない。(甲第28号証)

 このように教養演習開講の必要条件として語学科目6コマ+教養演習1コマ計7コマを厳格に定める「教養演習開講方針」が2011年以来存在するにもかかわらず、この「教養演習開講方針」は全く無効なものにとどまり、その結果として2011年以後10年以上にもわたって数多くの教養演習やセミナーが「教養演習開講方針」にはっきりと違反する形で開講されている。この事実は、「教養演習開講方針」を記載した「教養演習開講について」という学部長文書が、語学科目5コマ+教養演習1コマ計6コマで原告が担当していた教養演習をつぶすという2007年のハラスメントをそのための口実を明文化して正当化すると同時に、原告が二年間担当した教養演習より厳しい条件を原告に課すことによって、2007年以来開講されていなかった教養演習を復活させるにあたって、原告に教養演習を再開講することをあきらめさせ、これを妨げることを目的としたものであることをはっきりと証明している。

5 ハラスメント5について

(1) 認否

 すべてにつき否認ないし争う。

 (2)原告の主張

① 東洋大学大学法学部の委員長が互選によって選出されないことは既に原告準備書面2において証明されている。被告の主張は原告準備書面2の意図的誤読による虚言に過ぎず、反論として全く機能していない。****は、一時的に「第1回各種委員会」で学部長が既に決定した委員長が「追認」されたことを、そしてそれ以降互選どころか「追認」すら行われなくなったことを証言している。

② 2016年4月4日の原告へのメールで****は「語学委員会の委員長が**先生ですので」と書き、それに対して原告は「今年度から委員長が**先生ということは初耳で驚きました」と応じ、「もし会議での議決を経ないで委員長が決定ということでしたら、私は語学委員会の決定に何ら権威を認めることが出来ませんで、語学委員会の決定に従えませんので、よろしくお願いします」と主張している。委員長選出が互選でなかったことの証拠である。(甲第62号証)

6 ハラスメント6について

(1) 認否

すべてにつき否認ないし争う。

(2) 原告の主張

 被告は、「原告の査読結果を含め、査読者の審査結果をとりまとめる形で、審査結果報告書が作成された」と主張するが、これは全くの虚言で、そのような形で作成されなかったことは原告準備書面2において証明されている。したがって、被告が原告及び原告の見識、専門性等を無視した事実は動かない。

7 ハラスメント7について

(1) 認否

すべてにつき否認ないし争う。

(2) 原告の主張

① 被告は、「原告も認めているとおり、被告は、原告を法学部教授として雇用し、原告には、フランス語の授業を担当していただいている」と主張する。

 しかし、原告の主張は、被告が原告を法学部教授として雇用し、フランス語の授業を担当させた上で、原告に対してハラスメント及び不法行為を犯しているというものである。原告を法学部教授として雇用しフランス語の授業を担当させることからは、被告が原告へのハラスメント及び不法行為を犯していないことは全く帰結し得ない。したがって、被告の主張は、原告準備書面2に対する反論として全く機能していない。むしろ、原告を法学部教授として雇用しフランス語の授業を担当させるという被告としてごく当然の責務を原告にハラスメントをしていない根拠として持ち出すところに被告の原告に対する根深い差別意識が現れていると言うべきである。

8 ハラスメント8について

(1) 認否

すべてにつき否認ないし争う。

 (2)原告の主張

① 被告は、「**氏が手にしたのは、教務課内の検討途上ものであって、だからこそ、原告との打ち合わせにおいて、これを呈示することも、言及することもなかった」と主張している。

 しかし、原告の原稿を原告に事前に全く相談することなく勝手に訂正し、その上、原告が目の前にいるにもかかわらず原告に相談することなく、なおも原告抜きで検討することこそが、意図的な仲間外しのハラスメントであると同時に原告の研究活動を意図的に軽視し、原告の専門性を踏みにじる人格権侵害の不法行為である。

② 法学部教務課では、**と****が対応した。****の態度は原告に対し極めて敵対的かつ傲慢なもので、通常であれば「~して頂けますか?」というところを「~してもらえますか?」と言い放つという、若い職員の年配の教授に対する態度としては普通は考えられぬものである。このような態度は、被告及び東洋大学法学部が常日頃から原告を一方的に自分らより下位に位置づけ、原告をさげすんでいることの証左である。打ち合わせの最後に当時の法学部教務課長である****が挨拶に来た。その際、**は変ににやにやしながら、原告をまじまじと見つめるという原告を小馬鹿にした態度を取った。法学部教務課の原告に敵対的な雰囲気は、当の改竄が悪意あるハラスメントであることを証すものである。

③ 被告は、原告から**へのメールを引用している。しかしここには原告の「何かそちらで私の書いた部分に加筆修正があれば、お知らせ頂ければ、と存じます」という文がある。これは原告から**への原告に無断で原告の原稿を改竄しないでくれという、改竄があったことを前提とするメッセージであり、原告へのハラスメントがあったことの証拠として機能するばかりである。

④ 被告は、「最終的に、原告が確認している以上、何ら改竄したことにはならない」と主張するが、原告が**に再三注意しなければ改竄したままであったはずであるから、改竄したことに間違いはない。

9 ハラスメント9について

(1) 認否

すべてにつき否認ないし争う。

 (2)原告の主張

① 被告は、「原告は、②授業・講座等運営費について、2019年、2021年、2022年はアンケートを提出しなかったため、配分がされなかった」と主張するが、これについては原告準備書面3の8頁~9頁に既に説明してあるので、この主張は反論として全く機能しない。

② 被告は、「③海外研修予算については、原告から計画の立案や予算要求書の提出が過去一度もないため、予算要求として主管部署へ提出するものがなく、予算が配分されなかった」と主張するが、10年以上も事実上フランス語予算ゼロが続いている時に、原告に計画の立案や予算要求書の提出を経て海外研修予算をつけることが可能であることを原告に全く教えることもせず、立案や予算要求書提出を勧めることもしなかったのは極めて異常である。また予算の不公平を原告が訴え、それを軽減するためにフランス語予算をつけることを原告が要求したときに被告が何らの対応もしなかったこともあり、原告に対する悪意あるハラスメントがあり、差別待遇、劣後措置があると言うほかはない。

③ 2022年のDVD購入については、原告準備書面3の9頁において、原告が購入希望したにもかかわらず被告がそれを無視したこと、「2022年度法学部予算執行要領」にDVD購入ができないことが明記されてあることが指摘されているので、被告の主張は反論として全く機能し得ない。

④ 被告は、「そもそも、被告法学部が、限られた予算をどのように割り振るかは、被告ないし被告法学部の裁量により決定されるのであって、予算配分に差別という観念は存在しない」と主張するが、まさにその「被告ないし被告法学部の裁量」の中にハラスメントや差別があるということが原告準備書面3において既に証明されているので、法学部の予算配分に差別という観念が存在していることは明らかである。また、被告法学部による予算編成について、原告に対するハラスメントが存在していることも明白である。

10 安全配慮義務違反と不法行為の考え方について

(1)認否

すべてにつき否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は、「しかし、原告は、被告において、フランス語教育や研究を継続できており、これらの行為によって、何ら原告の活動は妨害されておらず、これまで述べたとおり、各行為は、何ら嫌がらせと評価できるものではない」と主張する。

 しかし、言うまでもなく「フランス語教育や研究を継続できて」いることから、何ら原告の活動が妨害されておらず、ハラスメントがないことが帰結し得ないことから、被告の主張が原告準備書面2及び3への反論の体を全くなしていないことは明白である。

原告が、自身の活動を妨害されながら「フランス語教育や研究を継続」していること、つまりハラスメント1から9の各行為が嫌がらせでありハラスメントであることは原告準備書面2及び3において完璧に証明された。したがって、ハラスメント1から9の各行為が原告の人格権を損傷する行為であることも既に証明されている。

② その上、被告は、原告のフランス語教育や研究の継続を根底的に妨害し、あるいは不可能にすることを画策している。

③ 被告は、原告がくも膜下出血を患い、現在も高血圧で医師の診断書も提出しているにも関わらず対面授業を強要し(甲第63号証)、原告の非対面授業に競合させる形で、原告に無断で雇用した非常勤講師に全く同じ科目の対面授業を担当させている。今年度の原告の担当コマ数はたった4コマであり、履修者は4コマ合計でわずか22名である。被告は原告から学生を奪い、原告の教育する権利を侵害している。(甲第64号証)

****東洋大学学長及び****法学部長を始めとする被告及び被告法学部は、2023年度原告のフランス語授業を通常6コマのところ不当に4コマに減らしている。

これは、原告の授業を通しての教育活動を妨害することによる原告のフランス語教員としての専門性や名誉を傷つけるハラスメントであり人格権侵害の不法行為である。これはまた、乙第3号証にある通り、「一般教養科目担当教員の担当コマ数については、6コマを基本とする」とある「法学部時間割編成方針」に違反するとともに、教授の場合5コマを超えた授業を担当した場合には超過授業手当を支給するとした東洋大学教職員給与規定第14条にも反するものである。(甲第65号証)

④ また被告及び被告法学部****教務課長は、2021年度、2022年度の2年間の研究費の一部を原告に不当に支払わず、それにより原告の研究活動を妨害している。支払われなかった額は、2021年度は48,713円、2022年度は38,817円であり、二年間合計で87,530円になる。

****は、Amazonで研究図書を購入した場合に、Amazon発行の領収書と支払い明細書を提出しても研究費を支払わない。**は、支払い明細書は無効であると主張し、クレジットカード会社発行の請求明細書の提出を求めた。(甲第66号証)

しかし、国税法上正式な書類は支払い明細書であり、これはクレジットカードから代金が引き落とされて初めて発行される証明書である。書店名、書籍名も明記されている。逆に、クレジットカード会社発行の請求明細書には書店名も書籍名も記載がなく、税法上正式な書類とは認められない。支払い明細書を紛失した場合にこれで代替が許されることもあるという二次的な書類である。しかも、請求明細書には、他の個人的な買い物の記録など多くの個人情報が記載されており、提出するにはそれらの項目を黒塗りしなければならない。(甲67号証)

ところが、****教務課長は、黒塗りした請求明細書を要求し、拒否すると研究費が支払われないことがこの2年続いている。それ以前は、言われるがままに黒塗りの請求明細書を提出していたので支払われていた。

東洋大学の会計処理案内には、クレジットカード会社発行の請求明細書が必要とは全く書いていない。クレジットカードの利用明細と書いてあるだけである。利用明細という言葉は確かに紛らわしいが、これは店でカードを利用して買い物をした時に渡される、取引内容が記載されたペラペラの紙のことである。Amazonの場合は支払い明細書がこれに当たる。(甲第68号証)

これは明らかにハラスメントである。しかもこれらの書類はメールで送るのではなく、必ず郵送するように要求されている。法学部教務課長だけにではなく経理課の会計担当者に尋ねたこともあったが、同様の要求があり、単独ではなく皆で示し合わせ、結託していることは明白である。

 ⑤ 被告は、「上記のとおり、原告が主張するハラスメント1から9の各行為は、何らハラスメントに該当しないため、当然に被告に故意ないし過失はない」と主張するが、上述の通り、ハラスメント1から9の各行為は疑いもなくハラスメントである。また、原告準備書面3において既に、「原告のフランス語の教員としての活動について、意図的にこれを評価せず、あえて仲間外しとしている状況」に加え、原告の経歴の軽視と原告の病気に関しての原告の研究教育活動の軽視が、被告及び被告法学部の故意ないし過失を証明し、不法行為と安全配慮義務違反を証明していることが証された。被告の主張は、何らこれに対する反論となっていない。

 ⑥ 被告はまた次のように主張する。「しかし、パワー・ハラスメントは、「優越的な地位を利用して」「不適切で不当な言動」であることが要件となっているところ、いずれの行為も、法学部の裁量が認められる行為や通常の業務対応に過ぎない行為であって、優越的な地位を利用した不適切で不当な言動に該当しないのであるから、これらの行為は、パワー・ハラスメントに当たらない」。

 しかし、「いずれの行為も、法学部の裁量が認められる行為や通常の業務対応に過ぎない行為」であることから、「優越的な地位を利用した不適切で不当な言動に該当しない」という結論が帰結し得ないことは明白である。「法学部の裁量が認められる行為や通常の業務対応に過ぎない行為」が既に「優越的な地位を利用した不適切で不当な言動」でありハラスメントであることから、「法学部の裁量が認められる行為や通常の業務対応に過ぎない行為」であるハラスメント1から9の各行為が「優越的な地位を利用した不適切で不当な言動」でありハラスメントであることが結論付けられるのである。むしろ、被告の主張は、疑いもなくハラスメントであるハラスメント1から9の各行為を「法学部の裁量が認められる行為や通常の業務対応に過ぎない行為」として位置付けることによって、法学部内において被告による原告に対するハラスメントが常態化し、当然のこととして認められていることを自ら証明しているまでである。

11 進行に対する希望について

(1) 認否

すべてにつき否認ないし争う。

(2)原告の主張

① 被告は、原告のツイートを引用しこれを非難しているが、この非難は全く当たらない。

****学長及び****法学部長ら被告は、文科省の特例的措置により原告の同時双方向非対面授業が対面授業として認定されることを隠し(甲第69号証)、数多くの非対面授業が開講されていることも隠し(甲第70号証)、あたかも平時のように装った上で、原告がくも膜下出血を患ったことを知っているのに知らないふりをし、原告が東洋医学に拠っており診断書提出に困難が伴うことも知っているのに知らないふりをし、原告に診断書提出を執拗に要求して原告が対面授業を拒否することを困難な状況に陥れた。(甲第71号証)これは明らかにハラスメントであり、安全配慮義務違反である。

また、必要な情報を原告に提供せず、誤った状況認識をさせた上で、原告の健康に重大な被害が及ぶ可能性が想定できる行動を執拗に強制していることから、**学長と**法学部長の行動を詐欺的と呼ぶことは全く妥当としか言いようがない。

また、このような行為を行なっている者らが大学という若い将来ある人々の教育を担う現場で地位ある立場に立つことは社会的に有害と考えられることから、原告のツイートは極めて高い公益性を持つと言える。

原告の被告へのメールへの診断書写真添付は2023年1月26日18時35分であり、その直前の2023年1月26日付の「御連絡」と題された文書において被告が急遽原告に2023年度の非対面授業継続を容認した事実から、また「御連絡」の内容自体から、非対面授業継続のために医師の診断書提出が必要でなかったことが、したがって**学長ら被告による執拗な診断書要求がハラスメントに過ぎなかったことが証明される。(甲72号証)そして、原告の非対面授業継続の被告による急な容認は、被告が原告準備書面2の提出により裁判の展開が自身に不利であると判断したことによるものであると考えることが至当である。

なお、2023年新型コロナ5類移行以後も、令和5年4月28日文科省事務連絡が過去の事務連絡を参照することを指示していることから、特例措置が生きることは明白である。(甲第73号証)

② 被告は、原告のツイートにより「被告の学生に少なからぬ影響が生じることを、被告としては懸念している」と、あたかも学生を慮るかのような主張をしているが、これは全くの虚言である。

 2021年2月に原告が被告にハラスメント申立てをして以来2年以上が経つにもかかわらず、被告はハラスメントを隠蔽する一方でハラスメントを継続し、これを解決するための努力を何らしていない。学生への影響を真に懸念するのであれば、2年以上の間に何らかの対応をしているはずである。

③ 被告高等教育支援室にHP上に公表されなくなっていた学生による原告の授業評価アンケート結果の開示を要求したところ、2023年1月18日にデータを送って来た。そのデータの多くは、学生が高評価をつけたものを極めて低い評価に改竄したものであった。改竄の事実は、新たに送られたデータと原告が以前にダウンロードしたデータとの比較検証の結果判明した。(甲第74号証)

 これはハラスメントである同時に原告の授業を妨害することを通してフランス語教員としての原告の専門性を損傷する人格権侵害の不法行為である。そして意図的な改竄は被告の原告に対する悪意を証明するものである。また、この改竄は学生たちの原告の授業への思いを踏みにじるものであり、被告が学生のことなど何ら考慮していないこと、したがって被告の主張が虚言であることの証左である。

④ 2023年度東洋大学法学部フランス語の授業は、法学部唯一のフランス語教員である原告に全く相談することなく、設定された。被告は、原告に全く無断で新たに非常勤講師3人を雇い、これまで原告が担当していた1年生4クラスを原告に全く担当させずすべて非常勤講師に担当させている。****学長及び****法学部長を始めとする被告により、原告は、担当コマ数を6コマから4コマに減らされ、新たに設定された付随的な非対面クラスを担当するよう一方的に強要されている。(甲第63号証)****学長及び****法学部長を始めとする被告が実施した対面か非対面を問うアンケートによる振り分けにより2023年度1年生フランス語履修者82名のうち70名の学生が原告の授業を履修しないようにされた。(甲第75号証)

⑤ 2023年度の原告の授業については、当初1コマも原告に担当させないことすら予定されていた。2023年4月17日の****法学部長の原告へのメールには次のようにある。「今年度のフランス語の時間割を策定した段階では、先生が今年度の授業をご担当されるかについて、法人側の方針が定まっておりませんでしたので、1~4コースについては、対面授業の**先生の授業としました。その後、法人側より、非対面による授業をご担当頂くとの方針が示されたため、5、6コースとして追加しました」。このように、****学長及び****法学部長を始めとする被告は、原告からフランス語教育の機会を奪うことによって原告の専門性を傷つけるハラスメント及び不法行為を犯している。

⑥ 法学部でフランス語授業につき一番見識をもつのが原告であることは明らかであることから、被告が原告抜きでフランス語授業を設定したことにより、そして例えば甲第49号証にあるように概して学生の評価の極めて高い原告の授業を大部分の新入生が受けられなくなったことによって、フランス語を履修した学生の利益が大きく損なわれたことは疑い得ない。学生の利益を考慮するかのような被告の主張が虚言であることのさらなる証拠である。

 また、2023年度のフランス語授業を原告に何ら相談することなく設定したことが被告の原告に対する悪意あるハラスメントであり人格権侵害の不法行為であることは言を俟たない。(甲第76号証)

⑦ 被告は、「ついては、被告として、本件訴訟の可能な限り迅速な進行を希望する」と主張するが、被告第二準備書面は、原告準備書面2及び3に対する反論を何ら提出しておらず、出す必要のなかったものである。このように、必要のない被告第二準備書面で訴訟の進行を遅らせているのは被告自らであるから、被告にかような主張をする資格はない。